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【プレスリリース】 第2回「大学の講義の公開」に関する調査結果 ~大学のインターネットでの講義公開に高い評価~

平成20年2月5日

報道発表資料

NTTレゾナント株式会社
慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構

【gooリサーチ・慶應義塾大学共同調査】
第2回「大学の講義の公開」に関する調査結果
~大学のインターネットでの講義公開に高い評価~

インターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」(*1)を提供するNTTレゾナント株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和才 博美)と慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(東京都港区、塾長:安西 祐一郎、以下DMC機構)は、全国のgooリサーチ登録モニターを対象に「大学の講義の公開」に関する調査を実施しました。
本調査は、慶應義塾大学が日本オープンコースウェアコンソーシアム(以下JOCW(*2)、代表幹事:慶應義塾大学DMC機構教授 福原美三)の経験をふまえてNTTレゾナントと共同で調査の企画・設計・分析を行ったもので、平成18年12月に行った第1回目の調査と同じ条件で実施しました。
今回の調査結果より、前回以上に大学が講義内容をWebサイトで公開する取り組みは高く評価されていることがわかりました。こうした取り組みを利用したいと考えている人は8割を超え、実用性の高い分野の講義公開を望む声も高いことが伺える結果となっています。また公開する講義数の充実や講義内容の分かりやすさなどが望まれており、Webサイトを使った大学の講義公開にさらに多くの期待が集まっていることが明らかとなりました。


総括

有効回答者1,000名のうち、大学が講義内容を公開することについて93.8%の人が肯定的な評価をしており、中でも「非常に良い」という評価が4ポイント近く増加しました。「講義内容を見られるWebサイトを利用したい」と回答した人は83.9%と非常に高く、見たい講義の分野は「経済学」「情報科学」など実用性の高い学問を挙げた人が多数となりました。以上のことから、多くの人がインターネットを通じた学習に高い関心を持っており、より実用性の高い学習を行いたいというニーズの高さが伺えます。また、大学が公開する講義を見る際に重視する点として「講義の分かりやすさ」「講義のラインナップの豊富さ」を挙げた人が多く、今後、大学がこうした取り組みを行っていくにあたり、講義の質・量ともに充実したものが求められていくことが考えられます。
大学の講義公開への取り組みについての認知度は、「一部の大学について知っていた」と答えた人が前回より4ポイント増加して21.5%となりました。「全ての大学について知っていた(0.6%)」と合わせると、認知度は22.1%と上昇傾向にあることが明らかとなりました。

調査結果のポイント

(1) 大学の講義内容公開について、90%以上が肯定的な評価
大学がインターネット上で講義内容を公開することについての評価は、「非常に良いと思う(33.2%)」「良いと思う(60.6%)」を合わせ93.8%もの人が肯定的に評価しており、特に「非常に良いと思う」という回答については前回の調査より4ポイント近く増加した。

(2) 講義内容を公開している大学の認知度は上昇傾向
現在インターネット上で講義を公開している大学は15校あり、その取り組みについて「全ての大学について知っていた」と回答した人は0.6%、「一部の大学について知っていた」と答えた人は21.5%で、合わせて認知度は22.1%であった。前回と比較すると、「一部の大学について知っていた」と答えた人が4ポイント増加し、全体的に認知度は向上している。

(3) 大学の講義内容を見られるWebサイトを利用したいと回答した人は全体の8割以上
「大学の講義内容が見られるWebサイトを利用したいか」という問いに対し、「非常に利用したいと思う(23.3%)」「利用したいと思う(60.6%)」を合わせ83.9%が利用したいと回答しており(前回の調査では83.5%)、インターネットを通じた大学の講義公開に多くの人が期待していることがうかがえる。

(4) インターネットで見たい講義は「経済学」「情報科学」など実用的な講義が人気
上記のような大学の講義内容を公開しているWebサイトにおいて、実際に内容を見たいと思う学問の分野は、「経済学(33.3%)」「情報科学(33.3%)」が最も多く、次いで「経営学・マーケティング(32.9%)」「文学(27.8%)」「医学(23.4%)」と続いた。
傾向としては、社会人が職業上で必要としている講義と、教養や健康面において実用的と思われる講義へのニーズの高さが伺えた。

(5) インターネットで講義を見る際に重視する点は、「講義の分かりやすさ」がトップ
大学の講義内容をインターネットで見る場合に、最も重要と考える点を尋ねたところ、「講義の分かりやすさ(28.9%)」「講義のラインナップの豊富さ(20.3%)」「講義テーマの面白さ(19.0%)」という意見が上位を占めた。前回と比較すると「講義の分かりやすさ」を挙げた人は増加し、「講義テーマの面白さ」に関しては重要視する人数は減少した。

《 補足 》
(*1)【 gooリサーチ 】 http://research.goo.ne.jp/
ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントと、日本のリーディングシンクタンクである三菱総研の調査企画力、コンサルティング力が融合した、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。携帯電話でアンケートに答える 「gooリサーチ・モバイル」モニター(7.7万人)、キーパーソンのビジネスマンを中心とする「gooリサーチ・ビジネス」モニター(5.1万人)、団塊世代・シニア層、ならびに若年層を中心とした郵送調査手法で回答する「郵送調査専属モニター」(3.4万人)を含め、192万人の登録モニターを擁し、消費者向け調査から、法人向け調査、グループインタビューまで、様々な市場調査ニーズに対応しています。(モニターの人数はいずれも平成20年1月現在)

(*2)【 日本オープンコースウェア・コンソーシアム 】 http://www.jocw.jp/index_j.htm
日本オープンコースウェア・コンソーシアム (略称:JOCW)は、日本におけるオープンコースウェア活動(高等教育機関において正規に提供された講義および関連情報のインターネット無償公開)を援助し普及することを目的として、平成18年に設立されました。慶應義塾大学は、平成17年5月より独自の「慶應義塾オープンコースウェアサイト」で講義内容をWeb上で公開しており、JOCWの初代事務局を務めています。

<本発表資料に関するお問合せ先>
NTTレゾナント株式会社 ポータル事業本部 広報
(Tel) 03-5224-5500、(E-mail) pr[at]nttr.co.jp
慶應義塾大学広報室
(Tel) 03-5427-1541、(E-mail)m-koho[at]adst.keio.ac.jp

<gooリサーチに関するお問合せ先>
NTTレゾナント株式会社 ポータル事業本部 リサーチグループ
(Tel) 03-5224-5380、(FAX) 03-5224-5201、(E-mail)research[at]goo.ne.jp
NTTレゾナント株式会社 ポータル事業本部
(Tel) 03-5224-5500、(E-mail) pr[at]nttr.co.jp

  
調査結果について
<調査概要>
1. 調査対象 : gooリサーチ・消費者モニター
2. 調査方法 : 非公開型インターネットアンケート
3. 調査期間 : 平成19年12月13日(木)~平成19年12月19日(水)
4. 有効回答者数 : 1,000名
5. 回答者の属性 :
【年齢】:  ~19歳20.0%、20~29歳20.0%、30~39歳20.0%、40~49歳20.0%、50歳~20.0%
【男女内訳】 男性50.0%、女性50.0%
【最終学歴】 中学校7.1%、高等学校27.5%、専修学校、各種学校8.9%、高専1.9%、短期大学9.5%、大学(文系)25.6%、大学(理系)12.8%、大学(医歯薬系)1.2%、大学院、ビジネススクール3.9%、海外の大学・大学院0.4%、その他1.2%

調査結果データ

1. 大学の講義内容公開に対する評価
(1)大学が講義内容を公開する社会的メリットは、「大学のオープン化」という意見が58.3%

大学が講義内容を公開することに対して、どのような社会的メリットがあるかを尋ねたところ、「大学のオープン化」を挙げた人が58.3%と最も多かった。次いで、「複数の大学の講義内容が比較できる(44.0%)」「大学に対して社会的な関心が高まる(43.5%)」がこれに続いた。【図1】

【図1】 大学が講義内容を公開することによる社会的メリット(n=1,000) ※複数回答

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(2)講義内容のインターネットでの公開について90%以上が肯定的に評価
インターネット上で大学の講義内容を公開することについて、どう思うかを尋ねたところ、「非常に良いと思う(33.2%)」「良いと思う(60.6%)」を合わせ93.8%もの人が肯定的に評価している。
前回の結果と比較すると「非常に良いと思う」という回答が増え、「あまり良いと思わない」「良いと思わない」という否定的な回答が減っていることから、全体的な評価が高まっていることが分かる。【図2】

【図2】大学の講義内容をインターネット上で公開することへの評価(前回:n=1,050 今回:n=1,000)

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(3)インターネット上で大学の講義を公開している大学の認知度は増加傾向
現在インターネット上で講義を公開している15大学の名前を挙げて(*)、その取り組みを知っていたかどうかを尋ねたところ、「全ての大学について知っていた(0.6%)」「一部の大学について知っていた(21.5%)」を合わせ、認知度は22.1%であった。
前回は、「全ての大学について知っていた(1.2%)」「一部の大学について知っていた(17.5%)」を合わせて18.7%で、前回と比較すると認知度は上がっている。【図3】
*名前を挙げた大学:慶應義塾大学、大阪大学、九州大学、京都大学、東京工業大学、
東京大学、同志社大学、立命館大学、名古屋大学、北海道大学、
早稲田大学、筑波大学、関西大学、京都精華大学、女子栄養大学

【図3】上記大学がインターネット上で講義を公開していることについての認知度
(前回:n=1,050 今回:n=1,000)

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2. インターネット上での講義内容公開に対する利用意向
(1) 大学の講義内容が見られるWebサイトの利用意向は、8割以上

インターネット上で大学の講義内容が見られるWebサイトがあった場合、利用したいかどうかを尋ねたところ、「非常に利用したいと思う(23.3%)」「利用したいと思う(60.6%)」を合わせて83.9%が利用したいと答えている。【図4】

【図4】 様々な大学の講義内容が見られるWebサイトの利用意向 (n=1,000)

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(2) 利用目的は、「趣味や教養のため」が約7割。「資格取得、キャリアアップのため」が増える。
Webサイトを利用したいと回答した人に対して、利用目的について尋ねたところ、「趣味や教養のため」を挙げた人が69.3%と最も多かった。次いで、「資格取得、キャリアアップのため(39.6%)」「自主学習の補完的材料として(38.5%)」「好奇心から(36.4%)」がこれに続いた。【図5】
前回の結果と比較すると、全体的な傾向は変わらないものの、前回は3番目に多かった「資格取得、キャリアアップのため」と答えた人が若干増え、今年は2番目に多い回答となっている。

【図5】 利用目的 (前回:n=877 今回:n=839) ※複数回答

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(3) 受講したい講義は「資格取得に直接結びつくような講義」「各大学の得意分野の講義」
どのような講義を受講したいか尋ねたところ、「資格取得に直接結びつくような講義(55.0%)」「各大学の得意分野の講義(48.0%)」「著名な教授の講義(47.8%)」が上位を占めた。【図6】

【図6】 受講したい講義(n=839) ※複数回答

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(4) インターネット上で見たい大学の講義分野は、「経済学」「情報科学」が人気
インターネット上で見たいと思う大学の講義分野について尋ねたところ、「経済学(33.3%)」「情報科学(33.3%)」が最も多い回答となり、次いで「経営学・マーケティング(32.9%)」「文学(27.8%)」が続いた。【図7】

【図7】 インターネットで見たい講義の分野 (n=1,000) ※複数回答

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(5) 欲しい講義素材は、「講義ノート・資料」が70%を超え、「映像(講義ビデオ等)」が続く
インターネットで大学の講義を見る場合に欲しい講義素材を尋ねたところ、「講義ノート、資料(70.1%)」が最も多く、「映像(講義ビデオ等)(57.3%)」がこれに続いた。
前回と比較すると、全体的な傾向はほぼ同様であったが、上位に挙がった2つの選択肢は微増しており、反対に「音声(講義テープ等)」「ページの利用者同士でコミュニケーションがとれるようなツール」は減少傾向にある。【図8】

【図8】 欲しい講義素材  (前回:n=877 今回:n=839) ※複数回答

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3. 大学の講義内容公開に対する利用者側の要望
(1) 講義内容の公開が必要だと思う大学の規模として、6割以上が「国公立、私立を問わずできるだけ多くの大学」に公開を求めている。

講義内容を公開することが必要だと思う大学の規模を尋ねたところ、「国公立、私立を問わずできるだけ多くの大学」が65.2%と最も多かった。「国公立、私立の有名大学」という回答は20.0%だった。【図9】

【図9】 講義内容の公開が必要だと思う大学の規模 (n=1,000)

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(2) 利用の際に重視する点として、「講義の分かりやすさ」「講義のラインナップの豊富さ」「講義テーマの面白さ」が上位
大学の講義内容をインターネットで公開した場合に、利用者にとって最も重要となる点を尋ねたところ、「講義の分かりやすさ(28.9%)」「講義のラインナップの豊富さ(20.3%)」「講義テーマの面白さ(19.0%)」との意見が前回に引き続き上位を占めた。しかし、「講義テーマの面白さ」に関しては前回に比べ、重要視する人数は減少している。
【図10】

【図10】 利用に際して最も重要と考える点 (前回:n=1,050 今回:n=1,000)   ※複数回答

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参考資料 PDF:
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2007/kr7a43000000a1o6-att/080205.pdf